消防士の教科書

これから消防士を目指す人たちの教科書になるようなことを書いていきます。

ベンチレーション

お疲れ様です、leoです。

 

もうすっかり年末ですね〜

 

我が家は僕以外がインフルエンザにかかるという、まさに非常事態となっています…

 

とんでもないクリスマスになりそうです(T-T)

 

それと!

 

嬉しいことに、最近チラホラと火災性状のテキストを希望してくれる方から連絡をいただいております。

 

文字では伝わらないかもしれませんが、めっちゃ嬉しいです。笑

 

引き続き、希望される方には無料でテキストのPDFデータをお送りしますので、下記のアドレスまでご連絡ください(^^)

 

火災性状のテキスト希望

yamama.leo.1227@gmail.com

 

さて、今回はベンチレーションについて書いていきます。

 

前回、屋内進入についての記事(屋内進入について - 消防士の教科書)を書きましたが、

 

その中でベンチレーションの話もチラッと書きました。

 

ので、今回は改めてベンチレーションについて書いていきます。

 

知っている方もそうでない方も、ぜひ最後までお付き合いください(^^)

 

 

【目次】

 

 

【ベンチレーションとは】

 

ここ数年、消防の世界でベンチレーションについて取り上げられることが多くなりましたね。

 

みなさんも一度は聞いたことがあるはず、PPV戦術もベンチレーションの一つですね。

 

ではそのベンチレーション、改めて調べてみましょう。

 

ベンチレーションとは

風通し、通気、通風、換気のこと。

消防の世界では、建物火災における重要な戦術の一つで、主に濃煙熱気を建物外へ排出するための手法。

聞こえが良くて言うのはとても簡単だが、実際現場でやるのはめっちゃくちゃ難しい戦術。

 

最初の1行目はGoogle先生、あとは僕の考えです。

 

僕の所属では、何故か今頃ベンチレーションが流行っていますが、

 

ベンチレーションをちゃんと理解していない人が多いのが現状です…。

 

ベンチレーションはとても有効な戦術である反面、その方法を間違えると大変なことになります。

 

今回のブログを見て、改めてその有効性と危険性について理解を深めていただければと思います!

 

ということで、では具体的にベンチレーションはどんなものなのか、次から書いていきます。

 

 

【ベンチレーションの種類】

 

僕たち消防の世界で使うベンチレーションには、いくつかの手法があります。

 

ここではその手法について、2階建て一軒家を想定して書いていきます。

 

 

①水平ベンチレーション

 

読んで時の如くですが…

 

出火室に対して水平方向に開口部(排気口)を設定し、ブロワーまたは自然風により換気する方法です。

 

一軒家で言うと、

 

一階の部屋が燃えていたら、一階の別の部屋に開口部を設定

二階の部屋が燃えていたら、二階の別の部屋に開口部を設定し換気する、

 

という感じです。

 

団地やマンションなんかを想像すると、よりわかりやすいかもしれません。

 

玄関側を吸気、ベランダ側を排気として換気

 

みたいな。

 

オーソドックスな手法ではありますが、

 

統制が取れていないとあちらこちらが開口部になり、もはや吸排気とか一切無視の

燃えろよ燃えろ現象に陥ります。

(燃焼の4要素を思い出してくださいね!)

 

統制が取れて実施できるのであれば、間違いなく安全に活動ができ、かつ要救助者の生存率の向上につながると思われます。

 

 

②垂直ベンチレーション

 

この手法は、出火室に対して垂直方向(縦方向)に開口部を設定しブロワーまたは自然風で換気する方法です。

 

熱気は上昇する、という理論からなる効果的な手法ですね。

 

この方法は集合住宅では使用できず、一軒家でしか通用しません。

 

一階の部屋が燃えていたら、二階の別の部屋に開口部を

二階の部屋が燃えていたら、屋根に開口部を設定し換気する

 

という感じですね。

 

特に、屋根に開口部を設定し換気を行うことを

 

ルーフベンチレーションといい、

 

バックドラフトによる強烈な吹き返しを回避する方法として、海外では主流となっているベンチレーションです。

 

が!

 

日本ではガルバリウム鋼板などが屋根材として多く使われているため、開口部は容易に設定できないことが予想されます。

 

つまり、ルーフベンチレーションはできないものと考えておいても良いかなと。

 

やるにしてもかなりのリスクがあり、現に海外ではルーフベンチレーションをやる際の事故が後を絶たないようです…。

 

知識としては必要かもしれませんが、あまり実用的ではないかもしれませんね。

 

一度検討してみてください(^^)

 

 

③水流ベンチレーション

 

これは消防隊による放水の際にできるベンチレーションの方法です。

 

実施するにあたり、吸気口と排気口を設定することは大前提です。

 

そして消防隊は広角噴霧注水が絶対です。

 

マンションで例えると、

 

玄関側を吸気、ベランダ側を排気とし、玄関側から噴霧注水で進入し煙をベランダ側に煙と熱気を押し出す

 

といったところです。

 

つまり、噴霧注水の"空気を送り込む"という特性を利用したベンチレーションということです。

 

 

④PPV(陽圧換気)

 

みなさん知ってのとおり、ブロワーを使用した換気戦術のことです。

 

Positive  Pressure  Ventilation

(ポジティブ プレッシャー ベンチレーション)の頭文字を取ったのがPPVです。

 

ブロワーを使って建物内の熱気や煙を強制的に排出し、活動時の視界向上や安全確保に大いに役立ちます。

 

割と有名なので簡単そうですが、全くそんなことありません。

 

理由は後ほど書くことにします。

 

 

 

基本となるベンチレーションの種類について書いてみました。

 

水平、垂直、水流、PPV、どのベンチレーションも安全な活動や要救助者の生存率向上には欠かせない手法です。

 

欠かせない手法で、絶対やるべきなのですが、

 

気をつけなければならないことが多数あります。

 

次はそのベンチレーションをやるときの注意点について書いていきます。

 

 

 

【ベンチレーションの危険性】

 

危険性と書きましたが、やる事さえやれば決して危険ではありません。

 

ベンチレーションの効果&特性を十分に理解しないまま実施すると、

 

割ととんでもないことになります。

 

ここではベンチレーションを実施する際の注意点をまとめていくので、よーく読んで考えてみてください(^^)

 

 

①情報統制を確実に

 

僕の所属はこれが一番できてないという、笑うしかない現状です。笑

 

まず大事なのは、

 

ベンチレーションを行うという情報を統制すること。

 

これができていないと、間違いなく隊員がケガしたり、下手したら死んでしまいます。

 

皆さんも知っての通り、火災で発生する煙は有毒ガスや可燃性ガスです。

 

統制がとれずにそんなのに巻き込まれたら…

 

まさにミイラ取りがミイラになっちゃいますよね。

 

ベンチレーションをするのであれば、情報統制は一番重要となります。

 

 

②火災の進行状況を見極める

 

何度も書きますが、

 

ベンチレーションを行うことで、火災の進行を助長する可能性があります。

 

つまり!

 

火災性状を理解し、火災の進行状況を見極め、適切なタイミングでベンチレーションを行う必要があります。

 

例えば、ドアコンで鎮圧状態まで至るような時に、

 

ドア&窓全開にしてベンチレーションを行ったらどうでしょう?

 

新鮮な空気バンバン入って、せっかく消えそうだったのが、また再燃してしまう可能性がありますよね。

 

こういった可能性を予見できる、見極められる力が何よりも重要なのです。

 

だからこそ、基礎である火災性状をしっかり理解したいところですね。

 

 

③ブロワーは2種類ある

 

ベンチレーションを行う際に必須となる資機材、ブロワー。

 

特にPPV戦術では欠かすことのできないアイテムですよね。

 

ところでこのブロワー、風の送り方で2種類に分類できるのは知っていますか?

 

簡単に書くと…

 

普通の扇風機タイプサーキュレータータイプか、というところ。

 

なんとなくイメージわきますか?

 

2つとも風を発生させる機械ですが、そのおこす風の形が違います。

 

扇風機は広範囲に幅広く(コーンエアー)

サーキュレーターは直線的に遠くまで届く(ストリームエアー)

 

風をおこします。

 

わかりやすい図が掲載されていたので参考までに…

株式会社シー・シー・ピー:ハネウェル:サーキュレーター [サーキュレーターと扇風機の違い]

 

そしてここからが重要。

 

PPV戦術では、ブロワーから出る気流が開口部全体を覆うことが必要不可欠で、その為には開口部から約1.2〜1.8m離したところにブロワーを設定しないと、開口部全体を気流が覆えずに適切な換気が行えないとされています。

 

つまり、ブロワーがあるから使える訳ではありません。

 

PPV戦術をしたいのなら、開口部全体を覆えるようコーンエアータイプのブロワーで、かつ開口部から最低でも1.2mは離す必要があります。

 

ちなみに、僕の所属にあるブロワーは全てストリームエアータイプのため、PPVできず…。(なのに「PPVやるぞ!」って騒いだり…)

 

みなさんも自分の所属にあるブロワーが、どちらのタイプの風をおこすか確認しておきましょう!

 

 

④意図しない換気

 

意図しない換気とは、一番わかりやすいのがです。

 

その他にも、避難する人たちの動きや進入隊員の動き、更には勝手に窓とかドアぶち壊すアホ隊員などなど

 

全く意図しない換気が必ず発生します。

 

意図しない換気が起こることで、建物内の気流が変わってしまったり

 

吸排気の構造が変化する可能性もあります。

 

これは防ぎようがないため、このことを念頭に活動するしかありません。

 

 

ざっと書きましたが、どうでしたか?

 

とても有効な戦術である反面、その危険性を十分に理解していないと大変なことになることがわかったかなと。

 

そして、

 

ベンチレーションを有効かつ適切に実施するためにも、まずは火災性状を理解することから始まります。

 

やっぱり何事も基本が大事なんですね(^^)

 

 

 

【まとめ】

 

いかがでしたか?

 

今回はベンチレーションについて書いてみました。

 

ここには書ききれていない部分もありますが、伝えたいことはうまくまとめられたかと思います!

 

もっとベンチレーションについて勉強したい方は、ぜひエッセンシャルズを読んでみてください。

 

さすがアメリカ、ぶっ飛んでます!笑

 

ということで、今回はベンチレーションについて書きました。

 

今年も残りわずか。

 

ケガなく病気もせず、クリスマス&年末&新年を迎えたいですね(^^)

 

それではまた。

 

最後までありがとうございました(^^)!

 

良いお年を!

 

 

 

 

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