消防士の教科書

これから消防士を目指す人たちの教科書になるようなことを書いていきます。

屋内進入について

お疲れ様です、leoです。

 

先日、ファイヤーコントロールボックスの燃焼実験をやってきました!

 

初の試みだったのですが、これまたうまくいきました(^^)!

 

別の機会に動画でもアップしたいと思います。

 

引き続き火災性状のテキストも配布してますので、興味のある方は下記のアドレスまでご連絡ください(^^)

 

火災性状のテキスト希望

yamama.leo.1227@gmail.com

 

さて、今回は屋内進入について書いていきます。

 

前回の記事(参考:熱画像直視装置 - 消防士の教科書)にも書きましたが、

 

今と昔は違うのです。

 

では何がどう違うのか。

 

その辺りを改めて再考し直したいとお思います。

 

今回も最後までよろしくお願いします(^^)

 

 

【目次】

 

 

【屋内進入とは】

 

僕たち消防士にとっては、もう聴き慣れた言葉ですね。

 

読んで字の如くですが…

 

屋内進入とは

火災が発生している建物内へ入ること。

主に建物内にいる要救助者を検索する時に進入することが多い。

火点を直接消火するために進入することもあるが、日本ではほとんどない。

基本、ものすごく危ない。

けど、やらないと助からない命があるし、火は消えない。

 

僕なりの考えですが、こんな感じですよね。

 

消防学校では、消火活動の次くらいに習う必須科目です。

 

ではその屋内進入、どんな要領で実施するか、改めておさらいしましょう。

 

 

【屋内進入】

 

消防学校で習ったとおり、いわゆる"操法"を確認しましょう。

 

〜用意するもの〜

  1. 呼吸器
  2. 長ロープ
  3. 投光器一式
  4. 援護注水用ホースライン

 

〜任務分担〜

  1. 進入隊員2名
  2. 確保ロープ保持者1名
  3. 投光器操作1名
  4. 援護注水1名

  合計5名

 

〜要領〜

  1. 進入する部屋の前に集まり、各自の資機材を準備する。
  2. みんなで輪になって合図の確認
  3. 進入隊員2名は安全帯同士をロープで繋ぎ、さらに確保ロープを装着する。
  4. 呼吸器の残圧を確認し、面体着装。
  5. ドアの温度を(手で)確認し、大丈夫だったらドア開放。この時バックドラフトの発生を警戒し、ドアと身体の位置に注意する。
  6. 援護注水を受けながら屋内進入開始。
  7. 要救助者を見つけたら、確保ロープまたは投光器で合図
  8. 徒手搬送(抱え救出)により救出開始、出口まで一目散!

 

文章なので非常にわかりづらいですが…

 

たぶんどこの所属もこんな感じのはずです。

 

学校で習うのもこんな感じですよね。

 

何も疑問を持たなければ、何も問題ない活動です。

 

が、このブログを読んでくれている皆さんなら疑問に思う事が多々あるはず…。

 

そこを掘り下げていきましょう。

 

 

【屋内進入の疑問点】

 

さて、前項で屋内進入の要領を改めて確認しましたが…

 

本当に操法どおりにできるでしょうか?

 

僕なりに疑問に思う点を太字で書いています。

 

順をおって考えてみましょう(^^)

 

①隊の人数

 

僕が今勤務しているのは、いわゆる分署です。

 

なので、消防隊1隊と救急隊1隊のみの配置です。

 

ちなみに、僕の所属の基本編成は以下のとおり。

 水槽付ポンプ車:隊長、機関員、隊員2名

 ポンプ車:隊長、機関員、隊員

 救急車:隊長、機関員、隊員

 

余程規模の大きい所属でなければ、たぶんどこの所属もこんな感じかと…

 

僕の署には水槽付ポンプ車だけが配置されているので、基本4名で活動することになります。

 

つまり、最先着として活動できるのは4名です。

 

ポンプ車隊とペア出動したとしたら7名となります。

 

もちろん、後着隊のことを考えれば話は別ですが…

 

火災は一分一秒を争います。

 

当然ながら、要救助者がいるなら尚更ですよね。

 

後着隊なんか待ってられないです。

 

ということを考えると、明らかに任務分担に支障がでます。

 

さらによく考えてください。

 

隊長は無線で情報のやりとり、機関員は放水に備え車から離れるわけにはいきません。

 

残されたのは隊員2名。

 

ポンプ車隊とペア出動したとしても、隊長&機関員は上記の理由で活動隊員には含めることができないとしたら、

 

多くても隊員3名。

 

どうやったら操法どおりに活動できるでしょうか?

 

②合図の確認?ドアの温度の確認?

 

ドアの前に集まり、みんなで輪になって、肩を叩いて合図の確認…

 

はじめ1回、よし2回、発見3回、脱出4回、緊急脱出連続5回以上!

 

ドアに手の甲を当て、温度を確認。

 

ドアを開ける方向に気をつけて開放!進入!

 

さて、進入までに何分かかったでしょう?

 

前述したとおり、

 

火災は一分一秒を争います。

 

悠長に合図の確認なんかやってる場合ではありません。

 

また、ドアの温度を確認するのに手を当てるとか、熱かったらどうするんですかね?

 

ヤケド覚悟の上で確認するんでしょうか?

 

前のブログに書きましたが、今は熱画像直視装置という素晴らしい資機材があります。(ない所属の方すみません)

 

僕の所属でも、まだまだ残火処理だけに使っているところもあるようですが、

 

熱画像は火災の初期から中期にかけてこそ活躍します。

 

残火処理だけに使うだなんて、本当アホくさ。

 

限られた時間の中で、どれだけスマートに活動できるかを考えなくてはいけませんよね。

 

③確保ロープ

 

みなさんも所属で屋内進入の訓練をやっていると思いますが、

 

確保ロープって意味ありますか?

 

さらに、確保ロープを使って合図を送るとか…

 

確保ロープの素材であるナイロンは、熱に非常に弱い素材です。

 

また、伸び率が高く衝撃吸収に優れていますが、屋内進入で一回でも屈折箇所があると、合図が送れなくなります。

 

さらにいうなら、脱出の時クッソ邪魔です。

 

バディを繋ぐ確保ロープも、脱出する際クッソ邪魔になります。

 

もはや足手まといとしか思えない…。

 

それなのに、まだ確保ロープを必要としますか?

 

④援護注水はすべき?

 

屋内進入の前にやる事と言えば、

 

中性帯の確認

 

も大事なポイントの一つですね。

 

進入前に中性帯を確認し、姿勢を低くして検索を開始するのが基本です。

 

大事なポイントなのでもう一度。

 

中性帯を確認し、姿勢を低くして

 

進入します。

 

さて、ここで援護注水をしたらどうなるでしょうか?

 

援護注水の基本は噴霧注水です。

 

そしてその噴霧注水、水だけでなく空気も送り込みます。

 

字のとおりですね、霧を噴くわけです。

 

…なんとなーくわかってきましたか?

 

せっかく中性帯を確認したのにも関わらず噴霧注水をしてしまうと、中性帯が崩れて視界不良となり、更には天井に溜まっていた高温ガスが自分達のいる床付近まで下がってきてしまいます。

 

つまり、うまい具合に均衡を保っていたものを、自らごちゃ混ぜにするというやり方です。

 

どう考えても、このやり方ちょっと違うんじゃないかって思いませんか?

 

⑤救出方法は?

 

要救助者の救出方法は、基本的にバディと共に抱え救出(2人搬送法)を実施するかと思います。

 

が!

 

前述④で書きましたが、姿勢を低くして進入することが基本です。

 

では退出はどうですか?

 

抱え救出(2人搬送法)って、完全に2人とも立ち上がりますよね?

 

行きは低い姿勢なのに、帰りは立って帰ってくる

 

こんな矛盾ありますかね?

 

 

と、まぁこんな感じで疑問点だらけ…

 

では文句ばかりでなく、実際にはどうやれば良いのでしょうか?

 

次のセクションで考えてみたいと思います!

 

 

【屋内進入を再考する】

 

ここからは僕の持論です。

 

きっとすぐに真似はできないし、上司から理解を得られるものではないでしょう。

 

ですが、ここに書くのは僕が所属の後輩たちと検証したことに基づいています。

 

それを踏まえ、見ていただければと思います(^^)

 

①任務分担

 

ここでは、僕の勤務する署の実情にあわせ、水槽付ポンプ車隊のみの任務分担とします。

 

参考までに…

 

隊長:情報収集、隊員の進入&安全管理

機関員:ポンプ運用

隊員1:ノズル操作&検索

隊員2:環境測定&検索

 

隊員1、2は空気呼吸器を着装し、確保ロープと投光器は不要。

 

次からは手順です。

 

 

②進入前

 

まずは火災の進行具合を判断しなければなりません。

 

いわゆる火災のサイズアップです。

 

そしてその為に必要な資機材として、熱画像直視装置(以下、「熱画像」)を使用します。

 

進入前に必ず熱画像を使用し、屋内進入ができるかどうかの判断をします。

 

ドアの温度を測定するだけでなく、進入する部屋の室温も測定する必要があります。

 

特にフラッシュオーバーに巻き込まれないよう、室内の環境測定は非常に重要です。

 

サイズアップを行い、屋内進入の可否を判断するのは隊長ですが、環境測定を行うのは隊員です。

 

操法でやる、合図の確認や確保ロープの装着は不要。

 

今のところ必要な資機材は、空気呼吸器、ホースライン、熱画像のみ。

 

必要な人数は、隊長含め3人です。

 

 

③進入

 

進入にあたり、熱画像でドアの温度を測定し、バックドラフトを警戒しながら少しだけ開放します。

 

ここで間違っても全開にはしないでください。

 

室内の燃焼状況にもよりますが、ドアを開けることで空気が流入し、

 

バックドラフトの発生火災の進行を助長

 

する可能性があります。

 

まずは極力ドアを開けずに、熱画像を使い、室内の環境測定を行います。

(いわゆる"ドアコン"ってやつです。これはまたベンチレーションについて書く時に。)

 

室温が進入できる温度であることを確認するのとあわせ、中性帯が形成されているかを確認しましょう。

 

もし中性帯があれば、要救助者がすぐに見つかるかもしれません。

 

さぁ、いざ進入!なのですが、

 

この時、放水は厳禁です。

 

中性帯が崩れるだけでなく、天井付近に滞留した高温ガスが床付近まで降りてきてしまいます。

 

屋内進入時の不用意な放水は、要救助者が助かる可能性を奪うだけでなく、自分達の身を危険に晒すことにもなります。

 

だから放水は厳禁。

 

そして併せて使うのが、熱画像。

 

自分達の目で見るのも大事ですが、

 

第三の目として熱画像を使うのことも超重要。

 

火災現場という極限状態の環境下では、ガッツリ頼るべき資機材です。

 

しっかり活用しましょう。

 

あと、これも超持論なのですが…

 

検索の時の「誰かいるかー?」は全く無駄ではないかと。

 

そもそも呼吸器を着装した状態では、声では意思疎通が難しいくらいにしか聞こえません。

 

それなのに要救助者に声は届くのでしょうか?

 

さらに言えば、少しでも活動時間を長くしたいのにわざわざ空気を消費しまくるようなことをやる必要はありますか?

 

確かに声かけのチカラは未知数です。

 

事実、声かけにより助かった命も多くあります。

 

僕もその重要性は認識していますが…

 

火事現場、まして一刻を争う現場で必要でしょうか?

 

いかに早く見つけ、いかに早く救出するかこそ大事なのでは…?

 

と思います。(僕は)

 

長くなりました(^^;)

 

進入時のポイントをまとめると

 

  1. 2人で進入
  2. ドアコン超重要
  3. 不用意な放水は厳禁
  4. 熱画像忘れずに
  5. 検索はスピーディーかつ効率的に

 

こんな感じです。

 

もう一つ、基本ですが大事なことを付け加えると、

 

低い姿勢で行動すること

 

です。これは絶対ですよ!

 

さぁ、長くなりましたがいよいよ退出です。

 

 

④退出

 

要救助者を発見しました。

 

1人はノズルを持っているので、もう1人の隊員が要救助者を搬送することになります。

 

その搬送方法もよく考えなければなりません。

 

1人で、低い姿勢で、要救助者の頭を保護しつつ、搬送することになります。

 

どうやったら搬送できるでしょうか?

 

答えはありません。

 

みなさんの所属でやってみてください(^^)

 

きっと色んな方法が出てきますよ!

 

そしてノズル操作を担当する隊員ですが、

 

水がパンパンに入ったホースを持って退出できるでしょうか?

 

例えば、50mmホースにクワドラノズル装着、規定圧の0.7Mpaで送水してもらいます。

 

どうでしょうかね?

 

きっとものすごく大変な思いをするかと。

 

水が入ったホースラインは、

 

行きは良い良い 帰りは怖いです。

 

さてさて、どうやって退出しましょうか?

 

これもまた実際にやってみて検討してみてください。

 

いろいろ考えて試してやってみて、みなさんの隊でうまくいったものが正解です(^^)!

 

また、確保ロープがありませんが、

 

その代わりにホースラインが進入口まで続いています。

 

つまり、ホースがエスケープラインになるということです。

 

だから合図の確認も、確保ロープも、隊員間のロープも不要って訳です。

 

どうです?

 

これ、進入隊員2人で完結できそうじゃないですか(^^)?

 

 

 

 

【まとめ】

 

今回は屋内進入について、改めて考えてみました。

 

僕たちが消防学校で学んだことは、決して間違ってはいません。

 

ですが、その学んだことを現場の実情に落とし込み、それができるのかできないのか、試しにやって検証しなければ意味がありません。

 

技術の伝承とか言われてますが、

 

何も考えずに伝承されても無意味だし、困るだけです。

 

考えましょう。

 

試してみましょう。

 

そして考えをアップデートしましょう。

 

今までどおりは通用しません。

 

こんなこと?って思うことから、まずは考えて試してやってみませんか?

 

今回も長くなりましたが、最後までありがとうございました(^^)!

 

 

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